中古物件の買い手が建築関係の職人さんだったとしたら、恵まれているかもしれません。家の事は専門ですし、多少の不備は自ら修理する、瑕疵といっても防ぎようのない物は原因がわかるだけに自ら納得してくれる事が期待できるからです。中小の工務店がひしめく「土建国家」日本ですから、実はこのようなケースは多いかと思います。
「良き買い手」となるためには、自らも手を動かす事を厭わない方が良いと思います。厭うのであれば、応分のコストがかかると覚悟した方が良いでしょう。厳しいようですが、建物が相手にするのは厳しい風雪や虫や動物などの自然環境。ある程度壊れても自ら補修すれば良いと割り切れば、低コストで住めますし、「どんな破損も許さない」と神経質になれば、オーバースペックな強度、コスト高な建物にならざるを得ません。地震に耐えるなど構造強度はもちろん必須ですが、ある程度手入れをしながら住み続けるというのが、家にとっても家計にとっても良いバランスだと思います。また、神経質に口煩い買い手は、売り手も不動産屋さんも敬遠しますので、結果的にリーズナブルな物件を見逃す事にもつながりかねません。よく勉強し、よく質問し、よく考える事は大事ですが、知らない事に不安になるあまり相手を責立てるようになってしまいがちなのは要注意です。
家の補修は、庭の雑草と同様、軽微なうちに手を入れれば簡単に済む補修がほとんど。雨どいが詰まる、ペンキが劣化する、など、簡単に処置できます。これを放置して雨漏りのように大事に至ると、手間もコストも大きく響きます。
かのシロアリですら、定期的な点検を怠らなければ、大事には至らないそうです。シロアリが侵入してもすぐに家は倒れません。大きくカジられないうちに見つけて対処すれば良いのです。これが、「絶対にシロアリは防ぎたい」と強い薬剤を使うと、健康を害しかねません。しかも薬剤の効力は数年しかもたないのです。手間を「ゼロ」にしようと過度に防衛するのは、結局は高くつくという一例です。
オーナー自らが補修できなくとも、信頼できる工務店や大工さんなどと良い関係を持つようにしていくと安心ですね。ゆめゆめ、チャイムをピンポーンと鳴らしてやってくる「屋根の無料点検」「シロアリの無料点検」にはご注意。点検こそが重要で、ちゃんと点検していれば過大な補修は不要なのです。点検を無料でやるのは、その後に元をとれるほどのウマみがあるからです。
一戸建てはマンションに比べ、考える事が多いようですが、マンションの管理組合ではもっと難解な大規模建築物の補修と住民同意の取りつけという厄介な事が発生します。「任せっ切りで手間いらず」という場合は、相応以上のコストを払っているか、建物が適切に補修されずに傷んでいるか、誰かが泣いているかの、どちらかでしょう。「住む手間がかからない」という事だけを重視するならば、賃貸が一番です。補修だけでなく資産リスクなど考えないで済みます。もちろん、その分コストはかかります。
手間を省けばコストは上がる。コストを下げるなら手間をかける。ちょっと考えてみたら当たり前ですが、意外に理解されていないと思いませんか?
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