2007年12月22日土曜日

「間取り」の外にあるもの

今、気付いたんですが、「間取り」という言葉、絶妙だと思います。
部屋の中だけを考えていると、部屋や通路の配置にしかすぎませんが、
周辺の環境からどんな空間を切り取るかを考えるのが、本来の「間取り」ではと思います。

この差は大きいです。

リビングに大きな窓を設けたら、そこから見えるのは隣家のトイレの窓・・・・という笑えない話もあります。たとえば、「南に大きな窓を設けて、東西は普通の窓」 と考えるのが前者。
「ここに美しい緑が見えるから、窓を空ける。こちらは隣の壁だから通風だけの窓。」と考えるのが後者。

人間は、目に入らない物は意識しなくなるので、見たく無い物は壁で隠し、見たい物に窓を空けるだけで、とても素敵な空間に変わっていきます。
周囲に見るべきものが全く無いときは、空や中庭を見るように仕向けます。

一戸建てなら5面採光が可能ですから、天窓を含めかなり自由な位置に窓を空けられます。これを活かさない手はありませんね。

これがわかってくると、土地の選び方の視点も変わってきます。
写真家のように指で四角いフレームを作っては、「こっちの景色がよさそう」と景色を切り取る事をしたくなるでしょう。

マンションや賃貸では、好きな所に窓を空ける訳にはいかないので、いきおいカーテンを閉め切った部屋で暮らす方も多いかと思います。これはかなり狭苦しい。

一戸建てならば、カーテンを開け放っても外から覗かれない工夫はいくらでもできます。
道路よりも部屋が高ければ、道路からは部屋の天井しか見えません。天井に物が散乱する事は無いので、見られてもどうという事はありませんね。
このほかにも、目隠し塀や、ルーバーやブラインドで一定の方向だけ視線をカットする事や、中庭を造るなど工夫はいろいろ。

光と風は、間取りの外からやってきます。
間取り図に隣地の建物や窓、樹木などを書き込んでから、一旦間取りを消してみましょう。
そこから改めて
どんな空間を切り取れば快適かを考えるのは、パズルを解くような楽しい作業になるはずです。

次回は「外に閉じ内に開く」について触れたいと思います、

2007年12月21日金曜日

どんなに広い家でも狭い。

家が建つ前の土地はとても狭く見えます。壁ができる前の家も狭く見えます。
それは、広い周囲と家の大きさが同時に見えてしまうからです。
隣に大きな人が立てば、普通の人でも小さく見えてしまうように、狭い広いは比較の対象があるかどうかで感じ方が大きく変わります。

一方、家よりもはるかに狭い自動車の中で、息苦しさを感じないのはなぜでしょう?視界に入るのがほとんど窓の外の景色だからですね。狭い車内空間は近すぎて目に入らず、窓の外を意識してしまうからです。オープンカーなら、空気も外界と一体化しているので更に爽快ですね。見通し、見晴らし次第で、ずいぶんと快適さが変わる物なのです。

同じ土地でも建物次第で快適さは大きく変わります。でも、それは「広さ」ではなく、「広く感じる」というのが鍵です。

建築家の仕事の大半は、複雑に絡む時間の要件を解きほぐして整理する事ですが、
その次に来るのは、多分この「視界の制御」です。

次回からは、そんな観点を紹介してみます。

2007年12月12日水曜日

住民意識のチェックポイント

なんか書き辛いテーマですが、触れない訳にはいきません。

意識が低い住民の中にすばらしい新築住宅の住民が仲間入りすると、妬みを買ったりする事もあります。理不尽ですよね。

「二度とこの不動産屋とは付き合いたくない」と思ったのは、かの「ゴミ御殿」の隣の物件を紹介された時。飛散したり崩れ来るゴミと毎日格闘する生活なんて想像したくもありません。

他人に迷惑をかける人、困った事をする人、など世の中の困ったチャンは沢山います。
「そんなの関係ねぇ」と暮らすのも良しですが、住み始めたら隣人は選べません。

古めの住宅街なら、どんなコミュニティーがあるのかじっくり観察できます。家の周りが掃除されているか、洗車されていない自動車、違法建築、ベランダや庭に物が積まれた家、修理がされていない家、物やゴミの放置、タバコの吸殻、犬の糞、など 観察できるポイントは多々あります。
早朝、深夜に何が起きているかも大事です。あなたの安眠を脅かす寄行をする人がいるかもしれませんし、さわやかな挨拶を交わす人たちがいるかもしれません。道路や公園はどんな人が掃除しているのか、地域の行事・祭事はどんな人たちが運営しているのかによっても雰囲気はうかがえます。

あなた自身が困ったちゃんに近い場合もあります。小さな子供が騒ぐとか、深夜に車の出入りが必要だとか、夜の来客が多いとかです。閑静な住宅街の平和をあなた自身が壊さないかは注意が必要。
新築の住宅街ならば大体子供達の年齢も揃って「お互い様」となりますが、古い住宅街の場合は、周辺に小さな子供の自転車やオモチャがあるかなどもチェックポイントです。

こうして観察をしていくと、「町の雰囲気は住民が作るもの」という事が見えきます。そして自分に合う町だと確信できれば、引っ越す前から仲間入りの準備はできたも同然です。快適なご近所付き合いも、人生の一部です。糧とするか負担とするかは、あなたの観察にかかっています。

町のプレミアム

「田園調布に住んでます」と言えば、それは一種のステータス。
「中央区に住んでます」と言えば、たとえそれが月島の1間長屋でも自慢できる。
高い土地にはステータスがあります。
高いなりに、周辺の住民意識が高かったり※、利便性や環境が良かったりするわけです。

※高い土地を買える人はそれなりの所得を持っている・・・・という「選別」もありますが、所得が高いから意識が高いか、自分が仲間に入れるかは別問題。気にするならば自らの目で注意深い観察が必要です。

でも、注意しないといけないのは、そのステータス、本当にあなたに必要? という事。
名前だけに値段がついている事もあります。

おもしろいもので、自治体や町の名前だけで値段が変わり、通り1本違うだけで環境も変わらないのに、値段が大きく変わる事も珍しくありません。「名前ではなくて実利なのだ」と思うなら、つまらないプレミアムにお金を使う必要は無いでしょう。

自治体サービスは意外に差があるのですが、30年スパンではどう変わるかわかったものではありません。横並び意識や市町村合併で格差が消える事もあります。また、大工場があれば固定資産税や法人税で自治体は潤いサービスレベルも高くなりますが、工場が中国移転とかになればとたんに失業者のあふれる貧乏町になりかねません。箱物は自治体外の住民も使えたりするので、破綻自治体は避けるとしても、少々のサービス差なら無視しても良いのではと個人的には思っています。

追伸:一つだけ注意。
最近、都市部では局所的な集中豪雨による冠水被害が発生します。ちょっと見ただけでは、どこで冠水がおきるのかはわかりません。冠水するエリアで、掘り下げ車庫の建売物件が売られている例もみかけて、「そりゃ、あんまりでは?」と思った事もあります。周りを見回して基礎や敷地がかさ上げされている家や、塀や壁の下部だけが黒ずんでいる家があったら冠水を疑った方が良いでしょう。自治体によってハザードマップが公開されているので、これがあれば簡単に確認できます。

不思議な値段

自分のライフスタイルが見えてきたら、一旦物件を見てみましょう。
膨大すぎて、大変かもしれませんが、Excelを使って、狙った町内の物件を比較してみると、面白い事がみえてきます。

駅から近いと価格が上がる?→たしかにその傾向はある
南向きだと価格が上がる?→確信できるほどは差が無い(アレ?)
使える面積あたりのコストが、マンション(占有面積)よりも一戸建て(延べ床面積)の方が低くなる事もある(アレアレアレ?)
建物の坪単価をエイヤっと、50万円※に設定して、建売物件の土地単価も出してみると・・・・・
更地や中古物件よりも土地単価が高い事がある(アレアレアレ?)

※坪単価50万円というのは乱暴かもしれませんが、某I産業では、坪20万円と噂されていますし、
 工賃が建設コストの大半を占めるので、何棟も一挙に建てられる建売住宅の建設費は割安になります。

新築一戸建てやマンションは良いイメージが伝わりやすいから高めに設定されているという事でしょうか?
ならば、更地を買って少々割高ですが高品質な注文住宅を建てても同じコストに収まる可能性もあり得ますし、中古住宅をやマンションを大リフォームして新築同様にするという技もあり得ます。

また、南向きかどうかは家に常にいる人にとっては大きな影響を与えます。
東京では日のあたる南向きの2階の部屋は、冬でも暖房がいらない位暖かいものですし
洗濯物や布団が乾くかどうかは、健康にも影響します。住み心地に大きな影響を与えるならば、南向きの物件に絞って探すというのが良いかもしれません。

「駅からの距離をエクササイズに活用してしまえ」と割り切ると、健康的に暮らせる安い物件が手に入ることになります。

どうでしょうか?物差しが変わると、物を見る目が変わるのです。

でも、あなたの物差しが変わっても、不動産の相場は変わりません。

という事は、自分にとって価値が高くて、あなた以外の物差しで決められた不動産相場で低い価格になっている物件が狙い目という事になります。
これこそが、純粋な自宅用に不動産を購入するROIを最大化するコツだと思っています。

「そこそこ快適に暮らせて、家族が幸せに人生を送れれば良い」と思い、他に拘りが無い方ならば、
物件の価格が幸せを運んでくれる訳ではない事を肝に銘じるべきでしょう。
高い価格は高い負担とリスクを伴い、疲労と不安とストレスを呼び込み、人生から「幸せ」を遠ざけるものです。子供達が親離れするまでの数年間をいかに過ごすか?長時間パートや超ドケチ生活では無いでしょう!銀行に高い金利を貢いで擦り切れるのは、本当にどうかしていると思います。

卑屈になる必要は無く、堂々と自分にとって価値の高い不動産を、安く調達するように知恵を絞りましょう。知恵を絞るほど、手に入れたときの満足は大きくなりますし、人生の糧にもなります。