2009年12月15日火曜日

三鷹天命反転住宅に学ぶ「人間」重視

三鷹にはすごい住宅があります。その名も三鷹天命反転住宅。人間が常に生まれ変わるのと同じ位、感覚を新たにしていく住宅だそうです。荒川修作氏の作品で、住宅というよりアートのようです。この住宅、常識をことごとく逸脱しているのですが、突拍子も無いように思える仕掛けの中に、実にいろいろな考えが仕込まれています。

●床を平らにしない
天命反転住宅の床は、土踏まずの大きさに合わせた大小の凹凸があり、表面は砂の洗い出しでザラザラしています。なぜでしょう?もともと、地面は平らではありません。なのに、現代は床も庭も道路も平らな所ばかり。これだと人間のバランス感覚は養われません。天命反転住宅のでこぼこの床を自宅に取り入れるのは無理にしても、庭を傾斜させて子どもの遊び場にするだけでも、身体能力の育成の助けになるかもしれません。

●収納はすべて吊り下げ
天命反転住宅には収納がありません。物はすべて、天井にあるフックから吊り下げます。何をどこに吊り下げるかで、部屋の雰囲気が一変します。美的感覚を研ぎ澄ませて、何をどこに吊り下げる化を考え抜くことで、常に右脳が刺激されます。一般的な物を見せないで収納だと、部屋はスッキリしますが変化も少なくなり刺激を受けなくなります。自宅でやるなら、「見せる収納」にチャレンジするという事でしょうね。

●常にストレッチ
天井から物がつり下がっているから、踏み台の上で背伸びしないと届きません。凸凹な床を歩くと、足首がいろんな向きに傾き、ストレッチされます。運動嫌いの人も生活するだけでストレッチされるので、結果的に、体に良いのです。階段の多い家でも、同じ事ができますね。

●原色を多用する
天命反転住宅は壁や配管が赤、青、黄、緑 の原色を中心に塗り分けられています。とても派手で「こんな派手な色の中で暮らせるのか?」と思うのですが、実際中に入ってみると意外と落ち着くんです。これも色使いを考え抜いたからこそできる事です。白で統一するだけでなく、派手な色の食器や家具をどうコーディネートするか、これも右脳をフル回転させないとできない技です。

●仕切っているようで仕切らない
天命反転住宅は、ワンルームのようで、4部屋に分かれていますが、仕切りがありません。なので、常に家族の気配が感じられます。家族の絆を考えるとき、個室が本当に必要なのか、もう一度考え直してみても良いかも。音が筒抜けだとイマジネーションも働き、お互いの行動が刺激になります。

●キッチンに立つ母と子供の目線が同じ高さ
キッチンが掘り下げられていて、子どもの目線と母の目線の高さが合うように設計されています。煮立った鍋に子供が突進しないようにガードは必要ですが、長い時間いる場所で子供とのコンタクトが取りやすいというのは考えるべき思想です。できれば、ホールのようにキッチンに向かって床が傾斜していると「アニ眼とムシ眼」で紹介されているような姿になります。

プライバシー、バリアフリー、高断熱、コーディネーション、、、、住宅メーカーはいろいろ言いますが、楽になれば体は鈍る。変化が乏しければ感覚も鈍る。「便利だろうけど、人間はどうなる?」という視点もあっても良いかなと思います。というか、人間が大事ですよね。まぁ、普通に生活できるレベルにはしとかないと、大変ですけど、この視点は頭に入れておいて良いでしょう。