2008年6月27日金曜日

帰宅困難者

震災の続きです。

さて、あなたが震災に遭うと以下のシナリオではあなたは6日間は家に帰れません。
自分や妻が6日間帰宅できない事を前提に、家の防災対策を考えましょう。

■勤務中に震災に遭った・・・
会社からオフィスから出ずしばらく留まるようにと指示が出ます。
東京で大震災が起きたら、300万人もの帰宅困難者が出て、道路は満員電車状態で身動きとれず、3日以上混乱は続くだろう・・・・という想定からの指導です。
という事で、「オフィスに3日間は留まれる程度の非常食等は用意しておきましょう」となっているそうです。「仕方ない、では家族は心配だが帰宅を我慢して3日間篭もるか・・・・。」でもね、オフィスはそのようには設計されていないので、留まろうにも留まれなくなるだろうと私は思います。トイレも流せなくなり。。。。高層ビルのオフィスは倒壊はしないでしょうが、空調もエレベータも止まり、悲惨な事になりそうです。オフィス近隣の避難所は、住民のためであって、勤労者のためのものでは無いので、所詮キャパが足りません。

さて、覚悟を決めて帰宅準備にかかりましょう。
(震災時はネットが使えないので、事前に準備しといて良かった)

■まずは地図
東京防災のページは勉強になります。
帰宅支援マップも閲覧できるので、今のうちにプリントアウトして勤務先に用意しておきましょう。
心強い帰宅支援センターとか、水の補給場所とかが、記入されています。
携帯電話の防災サイトからも、防災地図をダウンロードしておきましょう。GPS機能付きなら現在地をガイドしてくれます。倒壊が激しいと、地図があっても現在地は見失いやすくなるでしょうから。

■歩行困難地域のチェック
軟弱地盤、液状化は、建物/ブロック塀の倒壊、割れたガラス、自販機が行く手を遮る。木造家屋やプロパンガスの地域は出火リスクが高い。
東京防災の「地域の対策」に、災害被害予想地図が掲載されています。火災や倒壊地域は歩けないので、見ておきましょう。実はこの情報、帰宅支援マップには記載されていません。(--;) 関東大震災の時みたいに、避難民が道でひしめいている所に火炎旋風が襲うなんて目には遭いたくありませよね?
下町地区は地盤、火災ともに不利なので、ルートはよく検討しておきましょう。

■机の引き出しに常備
・歩きやすい服装、着替え、スニーカー
・小型防災グッズ詰め合わせ(軍手、ナイフ、絆創膏、防塵マスク等々)
・ヘルメットか防災ずきん
・リュックなど両手が空くかばん(がれきを乗り越えるので両手が必要)
・ビスケットなどのカロリーの高い食品
・ペットボトルの水

■通勤時被災に備えかばんに常備
・帰宅支援マップ
・仮眠の保温としてアルミ防災シート
・携帯電話充電器(手回し式ならベター)
・チョコレートなどのカロリーの高い食品

一日に歩ける距離の目安は20kmだそうです。普通に歩けば5-6時間の距離ですが、普通には歩けないからですね。ちなみに山道は1時間1kmの目安だそうです。山道よりかは少しラク・・気が楽になりました?革靴では辛い事、おわかりになるかと思います。なお、帰宅支援センターでは、滞留されると大混雑となるため、10分程度で退出する「マナー」が促されるようです。

無理して歩き続けて体調を壊してはいけません。
災害時の病気は辛いし周囲にも迷惑をかけますから、体調は万全に、無理は禁物です。
途中で1、2泊するつもりでいきましょう。

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地図や防災サイトのいずこにも書いてありますが、平時のうちに自分の足で歩く事をお勧めします。
東京都の災害予想地図と照らし合わせながら、「ここは液状化で建物崩壊」「ここはあたり一帯火災」と見当をつけていくと、どんな場所が危険なのか見えてくるでしょう。

全部を歩きとおすのは大変なので、日の長い夏場に帰宅の際に1-2駅間づつ小分けして歩いてみるのが良いかなと思います。

ビルが乱立する繁華街に近づくのは賢明ではないかもしれません。高層ビル1本で通勤者1万人なので道路はすごい事になります。東京シティ・マラソンの写真に写るランナーで3万人です。

車での移動ですが、震災時は東京都外への脱出についても交通規制がかかります。
制止を無視し都内を走りぬけられたとしても、出られません。自動車通勤の方は、いさぎよく諦めましょう。

では、幸運をお祈りします。ご家族があなたの帰りを待ちわびています。
帰宅は大変ですが、住めなくなってしまう都心のマンションと異なり、帰宅できればなんとか生活はできます。頑張りましょう。

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2008年6月24日火曜日

高級感

先日、東京ミッドタウンのモールに行った際、感じたのは
空間の作りはほぼショッピングモールと同じだけど、さすが高級感が演出されている事。

高級感を醸し出しているのは、目を引く彫刻や店の華麗なディスプレイもあるのですが、それはポイント的であり、一番大きなのは、柾目の木目調に仕上げられた柱と梁、そしてガラス壁を通して見える明るい芝生の広場でした。

一番ボリュームのある構造体を美しく仕上げて存在感を示すようにするのか、目立たないように処理するのかは建築家のセンスです。明るい芝生の緑と落ち着いた木目は、見事に調和していました。

同じことを豊洲のららぽーとが真似てもサマにならないでしょう。柱の色を変えても、調和は作れないからです。ららぽーとは船舶をイメージした建物で、家族が普段着で楽しむ巨大モールです。それにふさわしいしつらえをしているので、柱の色を変えても合わないのはあたりまえですね。でも、空間構成(3階分の吹抜けを挟んだ通路とモール)はほぼ同じなんです。しつらえの違いで、ここまで変わるものなのだなと改めて感心しました。

働く間だけ居るオフィスビルや、たまに訪れるモールのように一過性の時間を過ごす空間と、そこに数十年住まい続ける家の空間は考え方は異なります。でも、しつらえ方は参考になりますね。普段はカジュアルに、時に落ち着きのある姿、そしてある時は思いっきり楽しく・・・・ そんなしつらえの変化を家で考えるなら、カーテンやブラインドによる視野遮断と照明による色使いの変化で、かなりの事ができます。照明で空間にさまざまな色や「影」を「載せる」事ができます。「お化け電灯」(懐中電灯を顎の下に置いて顔を照らす事)のようにすれば夏も涼しく過ごせるかも!?

冗談はともかく、石膏ボードにクロス貼りもしくは塗り壁というのが今の個人住宅の標準ですから、あまり代わり映えがしない。表情をつけられるのは照明とファブリックが主流だそうです。ドンと大きな空間を1つだけ作って、さまざまな表情をつけて楽しむ。長く住むならいろんな変化も楽んで良いのではないでしょうか?照明は頼むと高くつきますが、建築化照明などは、設計時に考えてもらうと安くなる場合もあります。

家の中の遊び

家を思い切りいじれるなら、一体何を作ってみたいですか?

趣味の部屋?露天風呂?巨大なアイランドキッチン?
家の中に人が集まる「火」を取り入れるのもやってみたいですよね。蒔ストーブ、暖炉、囲炉裏などです。洞窟住まいの原始時代を思い出すのか、火がチロチロと燃えている様子は安心感や周囲の人との親近感を醸し出します。

空間的な遊びも面白いです。
螺旋階段はウキウキする感じがしますし、キャットウォークからは非日常的な視野があるし、
前にも触れた見下ろし感のある作業机なんかも楽しいです。
天井の低い小屋裏は小さな子供達が大喜びだし、ロフト梯子の昇り降りも新鮮なようです。

ギミックも面白いですよ。
消防署のようなスベリ降り棒が階段と併設されていれば、急いでいる時も便利かも。
フリークライミングができる壁なんかも楽しいですね。最近は、車庫をギャラリー風にして部屋からも車が眺められるようにしたいという人も多いとか。

「秘密基地みたいにしたい」と本棚の後ろに隠し部屋を作った人もいるとか。

なごみ系では、階段の高い天井にモビールを下げたり、壁にタペストリーを下げたりするだけでも良いですね。私のお勧めはチェアタイプ・ハンモックです。通常のハンモックは長さが必要ですが、このタイプは、省力スペースで「うたたね」程度はできます。(吊り下げる梁かフックが必要)ハンモックは寝たとき、背中が涼しくユラユラ揺れるのが気持ちよい。子供達には絶好の遊び道具になります。

トイレから見える坪庭とかも高級旅館みたいで良いですね。私はかつての三千院のような遣り水のある庭に憧れているんですが、さすがにこれはお金とスペースがかかる・・・・。

一軒家では、縦方向の工夫がいろいろできるので、楽しみがいがあります。
多少の暑さ寒さはありますが、天井が高い空間は想像力をかきたてます。
子供達のはしゃぎ声が絶えない楽しい家。人生の中のほんの数年の間の事ですが、ぜひその時間をより楽しいものにするような空間、考えてみてくださいね。

2008年6月20日金曜日

模型の使い方

白い建築模型・・・・建築家に依頼したみたいで、胸躍りますね。子供のころに模型を作った方なら、簡単に作れます。画材店でスチレンボードを買い、図面に併せて切って貼るだけです。私は接着剤が乾くまで待つのが面倒なので、両面テープでペタペタ貼ってしまいました。なお、スチレンボードが厚いと、切った断面が目立ってしまい、組む際に板の厚み分をどうするかで悩ましいので、薄板がお勧めです。縮尺は1/100が手ごろです。

私が模型を作った理由は
図面を読めない両親にイメージをつかんでもらうためでしたが、その他にもいろいろやりました。

●日照、日陰の確認
隣家の日陰がどこまで当たるか。自分の家の日陰がどれだけ影響を与えるか。
隣家の形も簡単に作り、太陽の光をあて、模型を回しながら、日の出から日の入りまで、影の伸び方を観察しました。太陽の光は平行なので、影の形が正確にわかるのです。

●窓の位置の確認
窓の外から何が見えて何が見えないのか、周辺の電柱や立ち木などを模擬的に並べて、検討しました。

●立体収納の検討
小屋裏収納を駆使したステップアップ住宅になると、上下の関係がわかりづらくなります。
模型は、1フロア分づつ積み重ねられるようにして、ドアの位置や収納口の位置が大丈夫か検討しました。
実はこれをやるために、かなり複雑な構造になってしまい、製作に時間がとられてしまいました。

1つ目の模型は両親の家に置きました。「こんな家になるのか」と日々眺めていたようです。
収納をどうするかとか、いろいろ検討できたようです。

「新しい家を皆で作り上げるんだ」といったシンボルになると素敵ですね。
熱の出ないLEDとか仕込んで、夜景も楽しめると家族に大受けです。

今は、両面テープの力も弱まり、ほぼバラバラになってしまいましたが、
模型にはよく働いてもらいました。ご苦労様。

車の影響は大きい

私の場合、南道路の土地がみつかり、プランを作り始めたのですが

優先順位で言えば
A.1階の採光・通風を最大限にする。
B.水周りは2世帯でそれぞれ持つ。
C.リビングを最良の空間にして、子供の勉強もそこで行う。
D.車が2台を置くが庭は欲しい

といったところが大きな要件でした。ところが、いざプランすると、

車を2台置いても庭が欲しいとなると、
・建物は北側に目一杯寄せて建て、南に空地を確保する
・車は道路に直角に入れる。
1階の日照や通風を確保するために、
・建物は敷地の東西目一杯に建てる
・車を敷地の東端と西端に離して置き、建物にかぶる部分を減らす。
・1階に大きめの高窓を設ける

と決まっていきました。D.に関わる部分が結構影響大きかった。これでプランの大方が決まった感じです。車のために家を建てた訳では無いのですが、「駐車場を別途借りるのは勿体無い」という消極的な理由がプランを牛耳ったのは、不本意でした。

コストやレイアウトに工夫を重ね、インパクトを最小限にしていったのですが、もし、
「車は1台でいいや」となったら、大分、内容が変わったと思います。
不思議なものです。

ともあれ、車は平日は家で昼寝しているだけの存在だったりするのですが、場所をとるので、車をどう置くか、ガレージが欲しいかで家のプランは大きく変わります。

2008年6月19日木曜日

モデルハウスの不思議と元気な工務店

以前、住宅の工業化について書きましたが、
何でも、昭和43年あたりにこれを唄って、数多くのメーカーが参入して、さまざまな提案を行ったそうです。
たしかに、コンテナみたいに部屋を積み上げるとか、窓も開けてあるコンクリート板を組み立てるとか、いろんな提案がありました。いずれも「工場で作るから品質が安定している」と唄ってました。
「大きく膨らむ~夢、ゆめ、ゆめ~」というCMソングが生まれたのはその頃か。
当時の大衆には爆発的には受けず、段々と在来工法に近づいていったそうです。今では工務店に丸投げに近い住宅メーカーが多いとのこと。

この歴史を聞いて「そうか!」と思ったのが、住宅展示場のモデルハウス。各住宅メーカーがいろいろ特徴を競ってますが、いずれも聞いてみれば「何でもできますよ」となり、特徴が見えない。高いオプション料金がかかる設備を見せ付けられながら話を聞き、あとは打ち合わせ場所になるだけ。コストを考えるとかなり不思議な存在です。

もし、これが工業製品ならばメーカーごとに作りも考えも全く異なるので、住宅展示場も車のショールームみたいに「試乗」の意味があったのでしょう。その頃の商習慣というか購買習慣が残っているので、無駄なコストをかけながらモデルハウスを建て、建て主もそこに行くのでしょう。過去の遺産というか負債というか、かけなくとも良いコストは、結局住宅のコスト高につながっているはずです。

どの住宅メーカーでもさして変わらないなら、下請けの工務店に直接頼めば余計なコストがかからない。でも、住宅への要望は多様化しているので、大工さんは最新のデザインができない。建築家に頼むには敷居が高い。ならば、工務店が建築家と組むかデザイン組織を持てば良い。という事で、ユニークな活動をしている工務店が増えています。その中で、私のお気に入り工務店をいくつか紹介します。勝手に私が選んだだけですので、何ら私とは関係ない工務店さんです。webを訪問すると、各社のユニークな活動が伺え、勉強になります。

東京組
「日本の町並みを美しくしたい」「世界の常識を東京組の常識に」
日本の建材の質が低いと、会長自らイタリアや中国に飛び、工房を巡り輸入し、ワインやチーズを大量に用意して、リラックスしながら家作りを打ち合わせられる設計室を作るなど、楽しく美しい家作りを目指す人に魅力的な工務店です。
iPodお持ちの方は、Podcast 「Buona Sera! SETAGAYA」がお勧めです。

相羽建設
OMソーラーにこだわり、建築家とのコラボレーションを行っている工務店。
「木造ドミノ建築」はグッドデザイン賞をとっています。ソーラーハウスの分譲地「ソーラータウン」を企画したり、地元の木材を活用したり、見学会や勉強会を数多く開催し、施主の皆さんが仲良く集っているのも印象的です。

キャナエル設計
住宅にかかるコストにこだわったデザイナー住宅専門の工務店です。モデルハウスも営業も持たず、誠実な対応で満足度の高い(難易度が高い)住宅を建てています。

エコワークス
ロハスな暮らしに拘った家を作る、工務店、設計事務所です。OMソーラーを利用した採涼システムを自社開発するなど、エコに対する情熱は相当なものです。社長自らが施主を訪問し、ブログを書くなど、誠実かつエネルギッシュな活躍をされています。


さて、冒頭に書いた工業化住宅ですが、マンション流行りの今なら、受け入れられるかもしれません。いや、そういう方ならマンション買うか。ならば、低価格工業化マンションが今後のトレンドになるのではないかと勝手に想像しています。

2008年6月17日火曜日

街のインフラ、家のインフラ

地震続きなので、地震の話題を引き続き。

築25年以上の古い基準で作られた家が地震で倒壊する危険性が高いそうです。頑丈な家もあるので、一概には言えません。一般住宅の場合、鉄筋コンクリートでも、木造でも、耐震強度を同じに設定して作るので、強度はさして変わらないそうです。2階建ての家なら免震はコスト高。防火性能は壁が燃えずとも窓が破れれば、燃え上がります。

窓や開口の無い土蔵みたいな家や地下室ならば火災に耐えますが、内部は高温になるそうなので、鎮火後数日は扉を開けられない・・つまり中に人は居られません。

つまり、ちゃんと建てた家ならば、何で建ててもそれほど変わらないという事だそうです。

・地震で倒れない(今の建築基準なら倒れない)
・焼けない(隣家との距離と火災規模に依存)
・避難しやすい
 -食器やグラスの破片が散乱せず、真っ暗でも速やかに脱出できる。
 -どの部屋も避難ルートを複数設定できる(火災はどちらから来るかわからない)

が地震や火災から命を守るために必要です。停電時に開かない電動シャッターは、避難の点で盲点になりがちです。2階からの避難には縄梯子を備えても邪魔にはならないでしょう。「就寝中」や「子供と入浴中」など、「来たら困る時」にどうなるかを考えておきましょう。階段のコンセントには停電時に点灯する充電式非常灯を備えると安心です。

さて、日本最大の都市東京に住む場合、他からの救援は期待が薄いので、
避難生活は長期戦を覚悟する必要があります。

・電気が1ヶ月無くとも暮らせる
・水道が3ヶ月無くともしのげる
・ガスが半年無くとも暮らせる

・・・・・想像つきませんねぇ。
ガスは無くともガレキを燃やしたりカセットコンロで、煮炊きや暖を取る事はできるかもしれません。半年間、一日2回でも360回分の炊事になるので、膨大な燃料になります。近隣の公園樹木は刈り尽されるでしょうから、庭に落葉樹を植えて、落ち葉や枯れ枝を炊けるようにはしときました。まぁ規模が大きくなるとわかりませんが、電気の復旧が早ければ、電子レンジ等でかなりしのげるかと。

でも、水が無いのは大変です。
試しに「防災訓練」として、家庭内の水道を一切止め、汲み置きしたバケツの水だけで生活してみたら、半日も耐えられないでしょう。トイレは流せませんし、衛生状態が一挙に悪化するので実験でも危険です。水が無いと炊事・洗濯・掃除・入浴・洗顔のみならず、手洗いうがい、トイレや粉ミルクなど切実な問題が次々と発生し、生活が何も進みません。夏場も冬場も辛いです。畑があっても水が無いと野菜作りも困難です。

雨水タンクは「せめてもの」備えとなるはずです。そのタンクも地震で倒れないよう、しっかりと固定しておく必要があります。

と考えると、水槽のあるマンションは水を無駄遣いしない住民意識が必要ですし、水槽も無いアパートはかなり辛そうです。
想像するだに辛いですが、川水、雨水、お風呂の水などを浄水して飲みつなぐ事は可能ですし、
どんなに汚ない汚水でも、最後はトイレの流し水に使えます。

いざ、事が起きたら在庫が薄いコンビニもホームセンターもたちどころに空っぽになるでしょう。
水対策として、備える物は
・長バールとスコップ(必要な物を取り出す、腐る物を埋める)
・清水ポリタン
・バケツ(複数)
・水無しシャンプー
・ポリタンを運べる台車
・浄水に使う炭、砂利、砂とサラシ粉、ホース
・徒歩圏に川があれば、長いロープ

その他簡単な対策として
・熱源や電源として車のガソリンは常に満タンにしておく
・水が漏れないゴミ袋は多目にストック(日向に水を入れて置けば、温まる)
・キャンプでテント生活と水の繰り返し利用を家族で訓練
・うがい薬と防塵マスク(咽喉の汚れ→疾病防止)
・きず薬、消毒薬等を切らさない
・マウンテンバイク(路面がひどくとも走れ、活動範囲が広がる)

さらに食料も備えるなら、一般の非常食のほかに
・籾殻付きの麦や大豆
(保存が利く。薬研、ひき臼等で脱穀・製粉して食べる。大豆や麦なら栽培して増やす事も可能か?)
・かつおぶし(削っていない物)
 糖分・たんぱく質は確保できるので、ミネラルを野菜栽培で補給
生き残るためには病気にならない。そのためには体力をつける必要があるので、食料補給の不足分を補うという考えは有効でしょう。東京で災害補給が絶えるような事態には個人では対処できません。

東京での震災は、国も自治体も未経験ですから「事足りる」所にまで行く事は無理です。
心配しすぎず、大事な所はスマートに備え、憂いを減らしましょう。

車椅子生活

バリアフリーと言われますが、足が不自由になっても家の中では車椅子を使わず、這っている方が多いようです。乗り移りとか考えると、その方が楽なのかもしれません。

家庭用エレベータの方が高価ですが、階段昇降機を導入する家は少ないようです。乗ると怖いし時間もかかるのです。

なかなか想像できないのですが、ともあれ、備えておく事には越した事はありません。自分の親が使うことになるかもしれないし、自分自身がお世話にならないとも限りません。

もし車椅子がやってきた時、
車を降りる→家に入る→うがいをする→トイレに行く→風呂に入る→着替える→寝る と一連のシナリオを考えて、セルフでできるか、介護がえらい大変な事が起きないか、チェックしとくのが良いでしょう。
過度なスロープや装置はコストもかかるし健常者には邪魔になりがちなので、後から設置できれば良いと考えます。

我が家の場合、
車から車椅子が転回できる広さの玄関ポーチに直接降りられ、そこからウッドデッキ経由で、掃き出し窓から室内に入れるように考えました。ウッドデッキ上で車椅子の車輪も清掃できるでしょう。
お風呂の間口は極力広くしておいて、大人二人で抱き抱えて通れる位を理想とします。広い浴室扉は浴室乾燥を使うときも便利です。隣り合うトイレと洗面所は今は壁に仕切られ別々ですが、取りまわしが効くよう、壁を壊して一部屋にできるようにしました。和室は敢えて上がり框を設け、車椅子から乗り移りしやすいようにしておきます。普段の生活でも上がり框は腰掛けられるので、何かと便利です。寝たきりになっても、庭の緑や、青空が見えるように配慮し、オムツの臭い対策も兼ね珪藻土を塗りました。和室からトイレまで直結できるよう、壁に穴をあけられるようにしたかったのですが、構造上難しかったので、いざとなったら、構造壁を鉄枠で補強して人が通れる位の穴を開ける事としました。一段高い和室からなので便器への乗り移りも楽でしょう。洗面ボウルは収納付きなので車椅子では使えませんが、その時が来たら交換すれば良い。

現実問題、来るかもしれないし、来ないかもしれないという事には、なかなかコストはかけられませんし不便も嫌です。来てしまった時に改装コストがバカ高くならないように配慮しておく。ウッドデッキや珪藻土壁など、普段の生活を快適にする仕掛けを兼ねていれば尚良い訳です。

前回の「食を考える」同様、経験しないとわからない事も、シナリオで考えてみると、シミュレーションが容易にできます。見落としている事、沢山あるとは思いますが、まぁ安心して暮らせます。

食について考える

有機農法で育てた野菜は、化学肥料のそれに比べて、生命力が段違いだそうです。腐りづらいし、虫も付きづらい。
成長点(玉葱の芯とか大根の根とか米の胚芽とか植物が成長し続ける部位)を食べると、人間の生命力も強まるとか。信じるも良し、信じなくとも良しですが、いざ実践しようとすると、自分で堆肥と野菜を作るしかない事に気づきます。堆肥はダンボールコンポストでも作れる。大根作るには土の深さが必要し、、、、畑が欲しくなりますね。

震災時の自給自足も考えたら、家に直結した「庭」菜園が望ましいです。家から離れた家庭菜園では、非常事態の時、大事な野菜が収穫前に消えている可能性が高くなります。庭なら屋根の雨水も利用できます。畑があるのなら、いざとなったらトイレの始末も・・・・。

今度は「農機具どこに収納する?」問題に突き当たります。

土のついた鍬や鎌を綺麗に洗って室内にいちいち持ち込むのも面倒ですし、屋外に置くのは「刃物」なのでよろしくありません。となると、物置が欲しくなります。庭に置く物置は、建蔽率とかには参入されませんが、庭(つまり畑)を狭くし収穫を減らします。となると、家に土間がほしくなる。

なんて考えていくと、ダンボールコンポストで堆肥を作り、それを使うミニ菜園があって、いざとなったら芝生を掘り起こして本格的な畑にする。農機具は鍵のかかる土間倉庫に収納する。野菜の種ならば保管は容易。なんてシナリオが生まれます。

という事で、我が家には小さくとも庭とミニ菜園と土間を確保しました。ミニ菜園は照り返し防止も兼ねたゴーヤ棚です。堆肥も常時生産中です。
以上、「食について(だけど家に関係する事をあれこれ)考える」でした。

引越しで移るもの

引越しが趣味の人がいます。賃貸で2年ごとに移り住む。契約更新料は払わずに済みますが、引っ越して敷金・礼金を改めて払うので、贅沢な趣味ではあります。

なぜなんだろう?
引越しは荷物を移す行為ですが、
荷物を移すのが好きだから引っ越すのではない訳で、
気分を一新したい、古い物を捨てて脱皮に近い事をしたい、というのが大きいのでしょう。

そう、モードチェンジですね。
引越しで移るのは荷物だけでは無いのです。

忘れたい物を忘れる、気がかりになっているものを消し去る、
新しい家族を迎える。新鮮な気持ちで新しい環境に接し、しつらえ直しながら新しい生活を組み立てる。

となると捨てる、配置を壊す、新しく組みなおす が必須要件です。
不要な物を捨てる事で、新しい事を考える余裕が生まれ、
配置を壊す事で、今までの生活をみつめ直す事ができ、
新しい環境に移り新しく組みなおす事で、モードチェンジを完成させる事ができる

身軽になって同じマンションやアパートの別の部屋を移っただけでも、引越しと言えるかもしれないし
古い家のものを一切捨てずに遠くへ移っても、引越しとは呼べないかもしれません。

ならば、
引越し屋さんや新たな物件を探して敷金を払わなくとも、捨てて壊して組みなおせば擬似引越しができる訳です。部屋の模様替えなどもプチ引越しと言えるでしょう。
壊すのは簡単で、壊せば組みなおさざるを得ないので、ここで鍵になるのは「捨てる」という部分。

「これが無きゃ生活できん」という物だけ残し、
もしかして必要かも と思える物は、箱に詰めて倉庫にでも入れて1年保管後廃棄。
あとはリサイクルショップやガレージセール、ゴミ出しをフル活用して捨てまくる。

そんな事をすると、多分、あなたの生活はかなりスッキリと整理できるでしょう。
「整理とは問題をみつけやすいように、不要な物を捨て、必要な物を使いやすいように並べる事」
という定義があるそうです。捨てなきゃ整理は始まりません。
本当に必要な物を考え抜いて厳選するというのは、自分の価値観や生活への問いかけです。

身軽になってこそ、引越しの意義が出るもの。家を考える時、まずは擬似引越しをやってみませんか?
そうすると、考える事もぐっと身軽になるはずです。

色の統一

家の中にはさまざまな物があります。柱、壁、天井、押さえ縁、縁切材などの建物と、窓、ドアなどの建具に、照明、ファブリック、家具、家電、小物、等々。

統一感を持たせれば、空間がスッキリして広く見せられます。ただ、色を統一しようとすると、結構苦労するものです。既存の家具やカーテンを使いたい。照明機器は照明効果もあるし。。。。で、我が家は「面倒なので、全部白に統一!」と強行しました。別にファンシー趣味ではありません。日本では白い物は人気なので、白物家電を筆頭に、揃えやすいのです。建具やカーテン、ブラインド、新規の家具を白で統一したら、スッキリしました。白い壁の窓に白いロールスクリーンを使ったら、壁と一体化して「窓を消してしまう」ような効果もありました。「ワハハ、本当に保護色だ。」と思わず笑ってしまいました。

「建具もクロスも白にする」と言ったら、工務店は「えー、建具も白にするんですか?」と言ってくれました。結果は、成功で、建具と壁が建て込んだ場所でも煩くありません。部屋をすっきりさせるために、窓枠を設けずクロスを張り込んだ家も見ましたが、雨や手垢を考えるとちょっと踏み切れませんでした。でも、クロスも白で窓枠も白なら、さして煩くありません。

白は緊張をもたらす色と敬遠される向きもありますが、我が家の場合、床や柱、梁は木目です。全く緊張しません。部屋の中よりも、窓の外の青空や緑の木々に目が向くように仕向けた家ですが、白い壁は風景を邪魔しません。既存の家具も、白く塗ったり、白い板を貼ったりで少しづつ白に統一していますが、部屋の中には沢山の物があるので、すべてが白くはなりません。もし統一がかなったら、ポイントでビビッドな赤やグリーンを取り入れたいと思っています。真っ白の中でこそ、そんなワンポイントは活きてくるでしょう。

所詮、建物はキャンバス(背景色)にすぎず、生活が色を乗せてしまいます。普通に生活するなら、「スッキリしすぎたら窮屈だ」なんて心配は不要です。むしろ、建物が主張しすぎると、本当に煩くなってしまいます。ゴテゴテに飾り付けるのでなければ、色は最小限に絞り込むべきだと思います。壁紙の色に凝るより、窓から何が見えるかを吟味する方が重要だと私は思います。だって、窓の外の方がはるかに拡がりがあるのですから。

納得いかない住宅設備の価格と内容

食器洗い機は便利です。一度使うとやめられません。ところが、家を新築してビルトインの食器洗い機を導入してガクゼンとしました。洗える食器の量は減り、洗浄力も落ちてしまったからです。

卓上に置く食器洗い機は「家電」ですが、ビルトインは「住宅設備」ルートで流れます。そのため、製品の更新速度は家電より遅く、設計は数年前のものだったりします。なおかつ、価格.comのような口コミも流れづらい。なぜなら、住宅設備の場合、ユーザーが選ぶというより、OEM先がオプションとして設定する事がほとんどなので、「ユーザー自らが選んだ」という意識はおきづらい。その上、ビルトインは引き出し式が主流になって、洗浄フィンが一つだけの物が多く、卓上機種とは「別物」になっています。うーん、予想外でした。

バス、トイレ、レンジフード、ガスレンジ などの住宅設備は、業界内で流通するので、不可解な価格設定がまかり通ります。「標準のAは不要で、代わりにBを付けて!」とお願いすると、AとBの差額だけが発生しそうですが、実態はBの価格が上乗せされるだけ というケースが多い。しかもあれこれ付帯工事が余計にかかると言われたりします。モーターでファンを回すだけのレンジフードに数十万円の値段がついたりします。なんで?ネットで実態価格を調べると、住宅メーカーの価格提示がいかに理不尽かよくわかります。住宅メーカーと住宅設備メーカーとの間の契約形態のせいなのかもしれませんが、この不透明ぶりと、家電に比べて硬直的な点は、納得いきません。私も、洗浄便座をオプションでつけようとしたら、便器丸ごと追加購入するのと同じ価格を言われ、仕方ないので後からネットで洗浄便座を購入して標準品を捨てた事があります。それでも、提示価格より低いコストに収まったのですが、全く無駄な話です。

また、取り付け工事も、他の工事と同じ職人が行えば、手間賃は減らせるはずですが、家電単体で購入した時の工事費とさして変わらない場合も多い。それに加えて、家電に比べて性能が高くないとなると、住宅設備ルートでの購入はかなり疑問です。家電は1年保障で工事は別なので、工務店が丸ごと面倒を見る住宅設備とは保障方法が異なりますが、はて、それに見合うコストなんでしょうか?

家庭内エントロピー

一般家庭での熱利用って、無茶苦茶だと思います。エアコンが懸命に部屋の熱を外に運び出している中で、冷蔵庫や食器洗い機、ガスレンジ、衣類乾燥機、パソコン、電気釜、電子レンジ、アイロン、電気コンポストが熱を放出している。熱を捨てている室外機のすぐ横で、電気温水器が大気の熱を拾っている。お湯を沸かすのに使った熱の大半はそのまま下水に捨てられる。

水の再利用は、目に見えるだけああって、お風呂の残り湯を洗濯に使うなど、ある程度進んでいますが、熱については「捨て放題」という感じです。気をつけてみると、家の中に沢山のヒートポンプが溢れ、あちらこちらで捨てたり拾ったりと、無茶苦茶やっています。

私は、電気を食う冷房の室外機が出す熱でお風呂を沸かしたり衣類を乾かしたりして欲しいし、年中動く冷蔵庫が捨てる熱も再利用したい。家全体で熱循環を一体化して欲しいのです。コンセントから電力をとって、熱を移動させておしまいというワン・ウェイを、改善して欲しいです。せめて、電熱機器は冷房中の部屋に熱を放出して欲しくない。できれば、効率の良いヒートポンプを一台置き、温熱と冷熱を場所によって使い分けて欲しいなと思います。その際、配管内の熱放出も無駄なので、従来の水冷媒ではなくてヒートパイプなどの熱搬送の仕掛けも工夫して欲しい。

OMソーラーのように、太陽熱で空気を暖め冬の暖房に使うというのは、エネルギー変換が少ないので合理的に思えます。そんな家庭内熱循環を、家電と住宅設備の組み合わせで発展的に構成できないものでしょうか?

エアコン、衣類乾燥機、給湯器など、普通の家でもヒートポンプが3台以上になるご時勢、もっと良いやり方があると思います。

ゼロ・エミッション

積水ハウスの建築現場を見かけたら、ぜひ、ゴミ置き場を見る事をお勧めします。60以上に分別されたゴミが定期的に回収されているからです。積水ハウスはゼロ・エミッションを目指し、建築現場から発生するゴミを分別回収し、徹底的に再利用化しました。その結果、再利用のコストはかかりましたが、廃棄コストが減り、再資源化されたゴミの売り上げが上がり、なんと、収益が向上したそうです。実に驚くべきというか、なんだ皆やればいいじゃないかと思うのですが、その実現は大変なものだったそうです。

ただし、これは新築現場から出る廃棄物のお話。旧家屋の解体ゴミの再利用化は技術的に難しいそうです。既存住宅は千差万別、分別しようにも引き剥がせない素材も多いからです。「30年経ったら建て直し」の標準的日本家屋は、大量の再資源化不可なゴミを生むのです。

「エコ」と「解体」は相反する行為です。リフォームも大量に廃材を出します。「丈夫で家族構成が変わっても柔軟に住める。」スケルトン・インフィルの考え方、もっと徹底されるべきだと思います。そして「古びるほど味が出る家」ならば、「古くてみすぼらしい家」とはならないのです。傷が着くほどに味が出る・・・そんな自然素材を選ぶか、クロスを張り替えるだけで一新できる家、そんな視点で家作りをしたいものです。

2008年6月16日月曜日

本当のエコって?

今、地球温暖化など、環境問題は重大なテーマとして取り上げられています。実は40年前、日本が公害問題で大きく揺れ動いた時、ほとんど同じテーマが取り上げられました。当時に比べ、大気汚染やエネルギーの無駄遣いはかなり解消されましたが、エコの発想自体はあまり変わっていないようにも思えます。当時も、「北欧の高度なゴミの再資源化技術は見習うべきだ」と言われていましたので。

エコを実現したいなら、自動車に乗らずトラックを使わず、鉄道を使いなさい というのも一つですが、時代に逆行する考えには誰もうなづかないでしょう。省エネルックなど、誰もやりたくありません。ハイブリッド・カーは多少の燃費節減につながっても、バッテリー製造の資源消費や製造エネルギーを考えると、本当にエコかはかなり疑問です。

その中、日本全体で見た時、最もエコな方法があります。それは、「捨てているエネルギーを有効活用する」です。

それは、捨てられている原子力発電の深夜電力
→燃料棒を一度始動させたら、需要があろうと無かろうと発電し続けるのが原子力発電。
電気として使われなければ熱として捨てられるだけです。

電力会社は「原発がエネルギーを無駄に捨てている」とは宣伝できませんし、
環境団体は「原発を有効活用しよう」とは言えませんので、利用が加速していません。
深夜電力は、一般家庭の電気給湯機等で使われ始めていますが、全家庭には普及していません。お湯を大量に作っても、床暖房等で消費しないと使い切れないのです。
また、夏の冷房には「エコアイス」等がありますが、夜の冷房に使えないため店舗用のみです。
電力メーターのインテリジェント化は進んでいるのですから、基本料金をゼロにする等で利用を促進すべきでしょう。

これだけ日本で原発が普及してしまって、もはや減少はままならないないのが現実です。
原発の廃棄物は、深夜電力を利用しなくともおなじだけ発生します。
微々たる風力発電で自己満足するより、本気で社会的なエコを考えるべきでは?気分が悪くなりそうですが。

東京のどこに住むのが幸せか

書店の平積みでこんなタイトルの新書を見つけました。読んでみて、なかなか興味深いなーと思います。本の主張は、
・不動産の資産価値は、売りやすく価格下落が低いかで見る
・不動産の価値は、街の価値で決まる
・街の価値は、街の歴史から推察できる
といった感じです。ぜひ、本を買って読むべきと思います。

一般的な不動産価格はこうして決まる という明確な主張です。
一斉入居のニュータウンが一斉に高齢化して、街が衰退するといったシナリオは実際起きている話で、説得力があります。高齢化で需要が衰退した街は、小児医療サービスや買い物などの都市インフラも衰弱しますから。

資産を増やすためではなく、資産を目減りさせないための防衛策として不動産価値を語った本として、画期的だと思います。

専門家に対しておこがましく少々異議を言うとしてら、
転売する際の不動産価値を見るという点は同意できますが、これだけにこだわると過大な借金を背負う事にもなりかねません。将来価値を予測して購入しても、本当に予測が100%当たるとは言えません。その点は本の中でも触れられているので、異議というか、本のタイトルに「幸せ」があるので、改めての注意事項といった感じです。

この本を深読みすると、
資産目減りリスクを低くするには、値落ちが低い物、元々の価格が低い物件を選ぶという選択肢もあります。新築より中古の方が値落ちは低いし、既に人気薄の地域の中古物件はそれ以上人気が落ちないという意味でもリスクは低い。防災上問題のある地域は論外ですが、そんな「人の行く裏を行く」方法もあります。これから人気が上がりそうな街は、既に価格に織り込まれている事があるので、慎重に選んだ方が良いでしょう。

高い土地には高いなりの理由がある・・・それは合点。でも、その土地が高い理由はあなたにとって本当に必要な理由なのか・・・・それはやはりよく考えるべきでしょう。

本にも部分的に触れられていますが、もう一つ気がかりな事があります。
都心回帰に付和雷同して、都心のタワーマンションに住むのは、私にとっては恐ろしい事です。中央沿線や京王沿線は、関東大震災に懲りた人達が移り住んで発展しました。なのに都心回帰したらどうなるでしょう?震災が再度起きたら、大正時代より膨れ上がった東京都心人口を支える完璧な救助体制など土台無理。マンションの給水タンクが尽きた後は一体どうなるんでしょうか?トイレが使えなくなったら30階まで一日何度も階段を上下できますか?液状化で周辺道路も通行困難になったら、給水車も来れないかもしれません。また、木造家屋の密集地では、大規模火災による火炎烈風(竜巻)も発生します。帰宅困難も大変な問題ですが、帰宅できた家に住めない、在宅の家族も危ういというのは更に辛い。そんな都心難民が溢れた時、どんな事態になるんでしょうか?「生き延びてナンボ」というのも幸せのうちと私は思います。

買い手に恵まれる家

中古物件の買い手が建築関係の職人さんだったとしたら、恵まれているかもしれません。家の事は専門ですし、多少の不備は自ら修理する、瑕疵といっても防ぎようのない物は原因がわかるだけに自ら納得してくれる事が期待できるからです。中小の工務店がひしめく「土建国家」日本ですから、実はこのようなケースは多いかと思います。

「良き買い手」となるためには、自らも手を動かす事を厭わない方が良いと思います。厭うのであれば、応分のコストがかかると覚悟した方が良いでしょう。厳しいようですが、建物が相手にするのは厳しい風雪や虫や動物などの自然環境。ある程度壊れても自ら補修すれば良いと割り切れば、低コストで住めますし、「どんな破損も許さない」と神経質になれば、オーバースペックな強度、コスト高な建物にならざるを得ません。地震に耐えるなど構造強度はもちろん必須ですが、ある程度手入れをしながら住み続けるというのが、家にとっても家計にとっても良いバランスだと思います。また、神経質に口煩い買い手は、売り手も不動産屋さんも敬遠しますので、結果的にリーズナブルな物件を見逃す事にもつながりかねません。よく勉強し、よく質問し、よく考える事は大事ですが、知らない事に不安になるあまり相手を責立てるようになってしまいがちなのは要注意です。

家の補修は、庭の雑草と同様、軽微なうちに手を入れれば簡単に済む補修がほとんど。雨どいが詰まる、ペンキが劣化する、など、簡単に処置できます。これを放置して雨漏りのように大事に至ると、手間もコストも大きく響きます。

かのシロアリですら、定期的な点検を怠らなければ、大事には至らないそうです。シロアリが侵入してもすぐに家は倒れません。大きくカジられないうちに見つけて対処すれば良いのです。これが、「絶対にシロアリは防ぎたい」と強い薬剤を使うと、健康を害しかねません。しかも薬剤の効力は数年しかもたないのです。手間を「ゼロ」にしようと過度に防衛するのは、結局は高くつくという一例です。

オーナー自らが補修できなくとも、信頼できる工務店や大工さんなどと良い関係を持つようにしていくと安心ですね。ゆめゆめ、チャイムをピンポーンと鳴らしてやってくる「屋根の無料点検」「シロアリの無料点検」にはご注意。点検こそが重要で、ちゃんと点検していれば過大な補修は不要なのです。点検を無料でやるのは、その後に元をとれるほどのウマみがあるからです。

一戸建てはマンションに比べ、考える事が多いようですが、マンションの管理組合ではもっと難解な大規模建築物の補修と住民同意の取りつけという厄介な事が発生します。「任せっ切りで手間いらず」という場合は、相応以上のコストを払っているか、建物が適切に補修されずに傷んでいるか、誰かが泣いているかの、どちらかでしょう。「住む手間がかからない」という事だけを重視するならば、賃貸が一番です。補修だけでなく資産リスクなど考えないで済みます。もちろん、その分コストはかかります。

手間を省けばコストは上がる。コストを下げるなら手間をかける。ちょっと考えてみたら当たり前ですが、意外に理解されていないと思いませんか?