2008年2月28日木曜日

手作りって良いのかな

以前、日本の住宅は30年位で価値無しとされるというお話を書きました。
非常に似ているのが、電車です。寿命は大体30年。新幹線は走行距離が長くて酷使されるので、半分くらいの15年だそうです。

電車も家も一品生産に近いという点でも似ています。ほとんど手作り。自動車のように大量生産するほど数は無く、種類が多いからです。日本の住宅も、住宅設備のぶ厚いカタログを見ると、多すぎるバリエーションに辟易とします。

さらに電車は10年に一度、リフォームされるのです。内装も外装も剥がして磨いて直してピカピカにします。これも莫大な手間がかかります。

そして、そう、その結果、常識では考えられないほど高い!のです。
新幹線は1両3億円、在来線の電車は安いものでも1億円弱位。これにさきほどの10年に一度のリフォームならぬ更新検査コストが数千万円かかります。

一方、大量生産で機械化、自動化された自動車は、乗用車で一台200万円位。桁が違います。
しかも30年前に作られた古い電車は、乗り心地も悪く乗客からも不評でした。

そこでJR東日本は、ロボットなどの最新設備を備えた工場を建設して、一日一両のピッチで電車を作るようにしました。今までは何種類もあった車種も1つに統一。路線ごとに仕様を変える必要が出るので、1つの路線の電車を全部置き換えたらマイナーチェンジをして次の路線を置き換えるという方法に変え生産効率を上げました。そして、リフォームは内装と電気機器の交換のみにして分解修繕を不要にしました。こうして、サービスレベルを下げずにコストダウンに成功しました。
人手がかかる一品生産、分解修理があたりまえだった鉄道車両を、自動車のように工業製品に変えてしまいコストダウンしたのです。鉄道始まって以来のエポックメイキングでした。

さて、住宅も同じことができないでしょうか?住宅の工業化は長らく試みられてきましたが、うまくいかないのです。

工法は進化しています。
最近の木造一戸建ては、上棟が一日で終わります。プレカット工場で刻んで番号を打った柱や梁を、クレーンで組み立てるだけだからです。* コーススレッドという細長い木ねじをインパクトドライバーで打ち込む工法は、釘打ちを激減し、手間を省き強度を上げる事に貢献しています。

しかし、内装、外装工事に時間と人手がかかるのです。大きな部材は道路が狭くて運べない。内装はすべて人手で作る。住宅設備もバリエーションが多ければ手作りにならざるを得ず、高くなる。

自動車の場合、内装は「はめる」「ボルトで締め付ける」で出来上がるように設計されています。
住宅の場合、「寸法を合わせる」「切る」「打ち付ける」という人手と判断に頼るので、時間とコストがかかります。大工さんが考える「工法」ではなく、大工さんでなくても組み立てられる「システム設計」がされていないのです。

「そうは言っても、土地の条件はバラバラ、サイズもさまざま、お客さんの好みは千差万別。画一的な設計なんかできないよ。」その通り。でも、サイズ以外は鉄道車両や自動車と条件変わりません。サイズも1間や1単位でモジュール化されています。

住宅も自動車のように、1車種5グレードみたいに単純化して大量に売りさばくことができれば、安くなるはずなんです。自動車のドアノブの色を一つ一つ選ぶ人は少ないでしょう。ちゃんとパッケージ化されていてセンス良くコーディネートされていれば、それを崩そうとは思わないからです。私は、家は車ほどもバリエーションが無くても良いのではと思っています。なぜなら、家具やファブリックを持ち込み、いくらでもアレンジできるからです。普通の家を望む人には、センス良くコーディネートされた安価なパッケージを提供すれば喜ばれるはずです。

となるとパッケージ化する住宅メーカーさんがもっとイニシアチブを持って素材メーカー、住宅設備メーカーにユニット化、モジュール化、アセンブリ化を働きかければ良いはずです。

T自動車さんがとっくに考えていそうで、でもまだできていないお話でした。
T自動車さんが本気でマンションを作り出したら、業界は一変するかもしれませんね。今は一戸建てとさして床面積あたりのコストが変わらないマンションの値段が大きく下がるかもしれません。

*以前は大工さんが現場で木を刻んでいたので、精度もばらつくし時間もお金もかかりました。

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